46話 - エルダーの知識(2) - Skyrim RP日記   

空と雪と葡萄色

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46話 - エルダーの知識(2)

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Bymagmel

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大学の図書館を訪ねた。
「ウラッグ先生。お久しぶりです」
「メルヴィナか。元気にしているか。またここにやって来たということは、なにか調べ物をしに来たのだな」
「はい。…星霜の書を探しているのですが」
ウラッグの顔つきが変わった。
「お前がそのようなことを尋ねてくるとはな。それを手に入れてどうするつもりだ? それとも誰かの使い走りをしているだけか?」
「書について詳しく教えていただきたいのです。知識の豊富な先生ならご存知ですよね?」
懇願するようにウラッグを見ると、彼はため息をついた。
「…星霜の書とは計り知れない知識と権力の道具だ。中身を読むためには、最も厳格に訓練された精神を持たねばならない。さもなくば、おかしくなる恐れがある。たとえ訓練されていたとしても、その代償として神々は読む者の視力を奪うことが多い」
「……視力を奪われてまで得られるものとは?」
「最も平たく言うなら”知識”だ。だがな、星霜の書はそう簡単に言い表せる代物ではない。書にはこれから起こりうる未来のすべてと、過去に起こったすべてが記されているのだ。読む者はそれぞれが異なるレンズを通し、それぞれが異なるものを見る事になる。それゆえに様々な感想を持つ可能性もあるわけだ。しかし同時にそのすべては真実である。それが偽りでも、だ。偽りの上に立った真実とも言えるだろう」
「偽りの上に立った真実…。難しくて理解しがたいです。けれど、私には書が必要なのです。どうしても見つけなければなりません」
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「…随分と急を要するようだな。たとえこの場所にあったとしても厳重な警備下で守られ、最も腕利きの盗賊にすら指一本触れられないようにするだろう。欲しいと言われ、やすやすと渡すような物ではない。何故お前がそこまで星霜の書を欲する?」
一呼吸おいて理由を説明する。
「私は…ドラゴンボーンです。先生も、スカイリム各地でドラゴンの襲撃が起こっていることはお聞きになったかと思います」
ウラッグは目を見開いた。
「お前が、ドラゴンボーンだったとは…。グレイビアード達が呼んでいたのは知っている。そうか…お前だったのか…」
「ドラゴンを止めるために、どうしても星霜の書が必要なのです。ここに無ければ、どこにあるのか手掛かりだけでも…」
「分かった。それに関しては我々が持っているすべてを授けよう。あまり大した量ではないが」
「ありがとうございます!」
「ここには膨大な書物がある。星霜の書に関連する書籍を探そう」
「はい、私もお手伝いします」


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「…というわけで、私は残って探し物をするわ。今日は大学の寮に泊まるから、二人は宿に戻って休んで下さい。疲れたでしょう?」
「そうだな。手伝いたいところだが、ドラゴンとの連戦で少々疲れた。本を開いただけで眠ってしまいそうだ。私は先に休ませてもらうとしよう」
ルーシスはそう言って図書館を出て行った。

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「メルヴィナ、俺はまだ大丈夫。少しくらいは手伝えることがあると思う」
「ありがとうございます。では、お願いしますね。星霜の書と関係ありそうなタイトルの書籍から調べましょう」
「分かった」


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私達はそれぞれ星霜の書に関連する本を探し出し読んだ。
「こっちは星霜の書を読んだ際にどのような効果が現れるのかが書いてある。…さっき先生が話していた内容だな。視力が奪われてしまうと」
本を読みながらロードが話す。
「書の場所については?」
「もう少し読み進めてみるが、今のところ書かれていないな…」
「そうですか…。こちらの本には帝国図書館から星霜の書が盗まれたという事が記されています。星霜の書は唯一の物かと思っていましたが…どうやら、いくつか存在するようですね」
「帝国図書館…シロディールか。複数存在すると言うことは、探している星霜の書とはまた別の物なのだろうな」
「おそらく…。私達が求めている星霜の書が果たしてスカイリムにあるのかは分かりませんが…」

効果についての知識は得られたが、肝心な書のありかについては分からず、さらに関連書籍を探した。
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一冊の本を手にし、読んでみる。
(この本…星霜の書の考察と書かれているけど、抽象的過ぎて理解できないわ)
ペラペラとページをめくるが、全編に渡って詩文のような内容で読解するのは難しそうだ。
それとも、星霜の書を考察するとこういう形にしかならないのだろうか。

「それにしても…大学には初めて入ったけど、予想以上に充実した図書館だな」
ロードが本棚を眺めながら呟く。
「ウラッグ先生が長年かけて収集した本らしいですよ」
「へえ。他では読めない本なんかもあるんだろうな」
「でしょうね。ロードは、本を読むのがお好きでしたね」
ソリチュードで本を読んでいたことを思い出し尋ねる。
「ああ。若い頃はリュート演奏と読書が趣味だったから。時間があったら色々と読んでみたいくらいだよ。この図書館が大学生しか利用できないのは勿体無いな…」

そんなことを話していると、突然名前を呼ばれた。
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「メルヴィナ!?」
オンマンド。私と時期を同じくしてウィンターホールド大学に入学した男性だ。

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「まあ、オンマンド。お久しぶりです」
「本当に久しぶりだ! ええと…三ヶ月ぶりくらいか、思ったほど経ってはいないんだな。もう一年以上会ってない気がしちゃったよ」
照れ笑いを浮かべる彼に笑顔で返す。
「フフ、そうですね。私も…色々なことがあって、大学を出てから随分経った気がします」
「制服を着てないところを見ると、ここに戻って来たというわけではないんだね。なにか調べ物でもしに来たの?」
「ええ、ちょっと急ぎで…」
「僕も手伝うよ! どんな事を調べたいんだい?」
「実は……」
オンマンドに説明する。
だが、屈託の無い笑顔を見せる彼には本当の事情を説明できなかった。
私が、ドラゴンボーンと呼ばれることも、本当はドラゴンだということも。
何も知らなかった、ただの大学生の自分でいたかったのかもしれない。

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「……」


「――そっか、星霜の書に関連する本を探してるんだね」
「ええ。何冊か関連書籍を読んではみたのですが、肝心の書のありかが分からなくて…」
「ウラッグ先生も調べているんだろ? 一度確認をとってみたら。読んだ本の中にも、なにか見落としている部分がひょっとしたらあるかもしれないし」
「それもそうですね」

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「君が途中で大学を出て行ってしまって寂しかったんだ。また戻って来ないのかい?」
「大学には基本を学びに来ただけなので。ジェイ・ザルゴやブレリナはお元気ですか?」
「みんな元気だよ。でも君がいないと退屈でさ。彼らとは話が噛み合わないときがあって」
「あら、仲良くしていたじゃないですか」
「あの二人の相手を僕一人がするんだよ? こないだなんてブレリナに新しい魔法だといって牛の姿に変えられたし…」
「フフッ。私も彼女の魔法で犬に変えられたことがあります。彼女の魔法はまだ完成していないようですね」
「いや、ある意味完成してるんじゃない? 謎の魔法技術だよな…」

オンマンドはちらりと私の後ろを見る。
「ところで…あの人は君の知り合い?」
振り返ると、ロードと目が合った。私は何故かその視線をすぐに逸らしてしまった。
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「ええ。旅に同行していただいている人です」
「ふうん…。何かあったら言ってよ、僕も力になるから」
「ありがとうございます」


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先ほど読んだ『星霜の書の考察』という本をウラッグに見せた。
「先生、この考察書…。私には難解すぎて全く意味が掴めなかったのですが」
「ああ。セプティマス・シグナスの著書だな。彼は星霜の書の性質について熟知していたが…その」
「先生はこの本の著者をご存知なのですね」
「ああ…。だが、随分前にいなくなった。もうずっとずっと昔の事だ」
「…亡くなったのですか?」
「とんでもない。そうじゃなければいいと願っているのだが、親しいこの私でさえ、もうずっと彼と会っていないからな。ドゥーマーに夢中になってしまってね。ある古の秘宝を見つけたと言って北へ旅立ってしまった。それからは音沙汰ひとつない」
「星霜の書に熟知しているその彼なら、書のありかについても何か知っているかもしれないですね…」
「もし彼を探す気があるのなら、氷原のどこかをあたってみたらいい」
「はい」
返事をして思いとどまった。この広い氷原を、闇雲に探す…?
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考え込む私の顔をオンマンドが覗き込む。
「どうしたの?」
「え、ええ。この広い氷原のどこから捜そうかと思って…」
「ドレビス先生に聞いてみたら? 探し物にうってつけの魔法を知っていた気がするよ。確か…”千里眼”だったかな」
オンマンドの助言にハッとした。
「ああ…オンマンド、ありがとうございます! 正直、どうしようかと悩んでいたところでした。早速ドレビス先生に伺ってみます」
「うん。役に立てたようで良かった」

オンマンドに笑顔で礼をし、図書館を出ようとして気付いた。
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(ロード…?)
いると思っていた彼の姿がそこには無かった。
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「……」
図書館をぐるりと見回す。
キョロキョロと顔を動かす私に、ウラッグが察したのか、「一緒にいた彼なら少し前に出て行った」と言った。
それを聞いてどうしようもなく不安を感じた私は、慌てて大学を飛び出した。

ロードが何も言わずに黙って傍を離れるようなことは一度も無かった。
彼がどこかに行ってしまったら、私は…。
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Comments 2

もきゅ  

こんばんわ(๑╹ω╹๑ )

いいな~、この気持ちの振れ幅。
黙っていることで相手にヤキモキさせたかと思うと、状況が少し変わっただけで今度はこっちが不安になる。こういうところが丁寧に描かれているのって素敵だなって思います(*^─^*)
女性ってこれを手管として使うときもありますけど、メルさんは素ですねw
また楽しみにしてます。

大学で誰かと思っていたらまさかのオンマンド(゚ω゚、)。
ザルゴ君は出番あるのかな~?

2017/01/25 (Wed) 20:21 | EDIT | REPLY |   

magmel  

Re: タイトルなし

>もきゅ様

こんばんは~(*・ω・)ノ

ありがとうございます(*^^*)
心理描写を出来るだけ丁寧に書きたいと思っているので、そう言ってもらえると嬉しいです。
メルヴィナ、確かに素ですね…計算した行動じゃないのはある意味厄介かもしれませんw

オンマンドは私の中では「少し気が弱いけど好青年」なイメージでしょうか。
本編とは別に新入生組で大学クエをワイワイやるRPも楽しそう!(妄想)
ザルゴ君はスケジュールの都合で出番がなさそうです…(´・ω・`)

2017/01/26 (Thu) 22:59 | EDIT | REPLY |   

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