空と雪と葡萄色

PC版スカイリムの妄想ロールプレイ日記置き場

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44話 - 世界のノド(4)  

ハイ・フロスガーが近づいた。
頬を軽く叩いて気を引き締め、私を外で待っていてくれた二人のもとに戻る。

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「メル!」
「メルヴィナ!」
二人は笑顔で私を迎えてくれた。
「ただいま…」
「無事に戻って来れたな、メル。良かった。さ、早く中へ入ろう。寒かっただろう?」
「ええ。けれど頂上の寒さはここと変わらないくらいだったわ」
「ハハッ。まあ、ハイ・フロスガーで育ったのだ、その点については心配していなかったけどな」
今は彼らの笑顔が身に沁みて泣きそうになる。早く一人になりたかった。
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「…外で、待っていてくれなくても良かったのに。私がいつ戻るか分からないでしょう?」
フードで視線を遮りながらロードの方を見る。
「外と言っても、俺達は火のそばで寒くなかったから気にすることはないさ。ルーシスも俺も、君の無事な姿を早く見たかったんだ」
隣でルーシスが笑う。
「そんなに心配なら無理にでも付いて行くんだったな、とロードに話していたところだ」
「よく言うよ。ルーシスなんて心配して焚き火の周りをずっと回ってたんだぞ」
そう言って笑いかけるロードと目を合わせてしまった瞬間、私の中で我慢していたものが溢れ出した。
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「…っ!メルヴィナ?」
抑える余裕もなく、涙がこぼれた。
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「メル、どうしたのだ。頂上で何かあったのか?」
「い、いえ。何でもないの…。ごめんなさい、今は、一人にして…」
二人から離れるように走って建物へ入った。


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広間の隅の椅子に腰掛け、一人で考える。
私が本当はドラゴンだということを伝えたら、彼らはどんな顔をするだろう。
今までの関係が壊れるくらいなら、いっそこのまま真実を自分の心に秘めたままでいたい。

私は人ではない。この想いも、胸に抱えたまま…。

「メル。やはりここにいたか」
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ルーシスの声に顔を上げる。
「ルーシス…」
「お前は昔から悲しいことがあると、この長椅子に座っていたからな。…何があった、話してみろ」
「…なんでもないわ」
「嘘をつくな。なんでもなければ何故突然泣き出した?」
「……」
「私には言えないことか。…私はお前の家族だ。娘が悲しい思いをしているのなら慰めてやりたいのは当然だ。それとも…私ではなくロードに慰めてもらうか?」
慌てて首を振る。
「嫌…今は彼の顔を見たくない…」
「うん?…本当にどうしたのだ。お前らしくもない。そんな状態で明日から大丈夫なのか?」
「……」
ルーシスだけは誤魔化せないと思った。
彼なら受け入れてくれるだろう。そんな期待もあった。
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「…今から話すこと、誰にも言わないでくれる?……ロードにも」
「お前がそう望むなら」
私の顔を見て、彼の表情が真剣なものに変わった。


私はルーシスに、パーサーナックスがドラゴンだったこと。そして、自分はドラゴンだと教えられたことを静かに打ち明けた。
「では、お前は…正確にはドラゴンボーンではなく、ドラゴンそのものだったということなのか…」
「ええ…」
「驚いたな…。お前はどこからどう見たって人間の女性そのものじゃないか」
「私だって信じられない。けれど、パーサーナックスは私の正体を見抜いていた。アカトシュが、ドラゴンの私をこのように作ったのだと…」
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「だが、それなら合点はいく。お前が神に作られし者だったのなら、帝都でお前の親を捜しても見つからなかったわけだ」
あっさりと真実を受け入れたルーシスに拍子抜けした。
「…ルーシスは、私がドラゴンだと知ってなんとも思わないの?」
「何故だ。今のお前は今までのお前と何か違うのか?私には同じに見えるぞ」
「けれど私は人ではない。いつかこの姿もドラゴンに戻るかもしれない。性格だって変わってしまうかもしれない…」
「『かもしれない』だろう?そうならない可能性も勿論あるはずだ。だが、私はお前がどんな姿になっても何も変わらない。それは絶対だ」
真剣な瞳で私をまっすぐに見る。
「ありがとう、ルーシス…」
力なく笑って見せると、ルーシスも小さく笑顔を返して頷いた。

「…ねえ、私はどうして、ドラゴンなのに人の姿をしているのだと思う…?」
「それはアカトシュに聞いてみなければ知りようがないな」
「私が本当の姿に戻ったら…今ある人の心は失ってしまうのかしら。あのとき、感情を無くしてしまったように…」
「メル…」
抑えていた涙が再び溢れてしまう。
「知っていれば…自分が人外だと知っていれば、こんな気持ち初めから抱かなかった…。あのまま、感情なんて戻らなければ…」

「メルヴィナ…!」
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「…っ」
「…お前の魂と肉体がドラゴンであったとしても。”心”は人間のものと変わらない。ならば、人を愛する気持ちが生まれるのは当然のことだ。…お前が真実を知って心が苦しくなった理由の一番は、そのことなのだろう?」
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「…!」
「メル。私は、お前がドラゴンでありながら人の姿を持って生み出され、人の心を持っていることには理由があると思う。無理に今までの自分を押し殺す必要など無い」
「……無理よ。もう知ってしまったんだもの。これまでと変わらずにいることなんて出来ない」
「ではどうするつもりだ。諦めるのか?」
「そのつもりよ…」
「諦める前に、あいつに全てを打ち明けたほうがいいと私は思うのだがな」
「そんなこと出来ない。せめて、今の関係だけは壊したくないから…」
「だが、これからも旅に同行してもらうつもりなのだろう?一緒にいればそれだけ思いが募って辛くなるぞ。叶わないと知れば尚更な」
「だったら、一旦彼と別れましょう。このまま一緒にいても、割り切って彼と接することは出来ないと思う。本当のことを話す心の整理もつけたい…」

「…本当に、お前はそれでいいのだな…?」
じっと私を見つめていたルーシスが静かに尋ねる。
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「ええ。一度別れて、また同行してくれるのかは分からないけど…。”ドラゴンボーン”の私にとって、彼は旅をするうえで必要な戦力だから」
「…分かった。お前が望む状況になるよう私も協力しよう」
「ありがとう…。わがままを言ってごめんなさい…」


早朝。浅い眠りから覚めた。
星霜の書について尋ねるためにアーンゲールを探す。

「…メルヴィナ」
背後から私を呼ぶ声に心臓が跳ねる。
一呼吸おいて、気持ちを落ち着かせてから彼のほうへ振り向いた。
「ロード。おはようございます、随分と早いのですね」
「おはよう。君こそ早いんだな。あまり眠ってないんじゃないか?」
「いえ。昨夜は早く眠ったので、早く目が覚めただけです」
「そう…。俺は、あまり眠れなかったんだ」
彼はそう言って少し笑うと私を見た。
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「元気がないみたいだから、気になって…」
「普段どおりですが」
「そうは見えない。昨夜ルーシスに聞いてもはぐらかされた…本当は何かあったんだろう?」
ドキリとした。
「……いえ。話すようなことは何もありません」

彼に初めて嘘をついた。

「…俺には話せない?」
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「……」
じっと見つめる彼の視線から逃げるように目を逸らした。
「おはよう。二人とも早いな、こんなところでどうした?」
まるで私達の会話を遮るようにルーシスが声をかけた。
「あ、ルーシス。おはよう」
ロードから離れルーシスの側に行く。
「アーンゲールに話があるのだろう?広間にいたぞ」
「分かったわ」
物言いたげな表情で私を見るロードにわざと気付かない振りをした。

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広間で瞑想の準備をしていたアーンゲールに声をかける。
「既に戻っていたのだな。パーサーナックスはお前の知りたかったことについて何か答えてくれたか?ドラゴンレンド・シャウトについては教えて貰えたのか?」
首を振って答える。
「いいえ。パーサーナックスでもそのシャウトは教えられないと…。ですが、探し方を教えてもらいました。古代に用いられた星霜の書が必要なのです。ご存知ありませんか?」
「我々がその書を気にした事はない。当の神々でさえそれに手を加えることには恐れを覚えるのだ。見つけられそうな場所となれば…そのような書は、ウィンターホールドの魔術師達がいつも商売道具として持っている類のもの。彼らであれば星霜の書について何か教えられるかもしれん」
「分かりました。あるいは大学の図書館に星霜の書の手掛かりになりそうな書物があるかもしれませんね。探してみます」
「ああ。そうしなさい」
別れ際、アーンゲールは私に言った。
「…メルヴィナ。パーサーナックスと話したことで、竜の血脈がお前の中で眩しく燃えているのが分かるぞ。変化があったようだな」
静かに頷き、ほんの少し笑顔を見せた。


出発の準備を済ませ、二人を見る。
「…昨夜はごめんなさい。もう大丈夫」
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そう言って笑顔を作った。
「ロード。私とルーシスはこれからウィンターホールドへ行き星霜の書について調べます。どのくらい時間が掛かるのか分かりませんので、あなたは一旦ソリチュードに戻ってお休みください。今まで、ありがとうございました」
どうしても彼の顔を直視できず、視線が定まらないまま俯きがちに話す。
「どういう意味だよ、それ…」
少し不機嫌そうな声。
「この旅は思いの外長引きそうだからな。帝国軍に身を置くお前をいつまでも引き止めておいて良いのだろうかと昨夜メルと相談した。それに、ずっと付きっ切りで同行してもらったのだ。休暇も必要だろう」
ルーシスがフォローする。
「休みを取らなければならないほど過酷な旅でも無かっただろう?それに、軍には報告してある。終わるまで戻らなくていいとの許可も得た」
ルーシスを横目で見ながら答えるロードは、ふいに視線を私に合わせた。

「メルヴィナ」
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「急にそんなことを決めた正当な理由を教えてくれ。それとも何か、俺は用済みだと言いたいのか?」
怒っている、けれどどこか悲しそうな目をしていた。
「ち、違います。あなたにはずっと同行していただいているのです。少しの間でも休息をと…」
「断る」
「ロード…」
「言っただろう、守ると。俺は君を守ると決めたからここまできたんだ。今更…余所余所しくしないでくれ」
真っ直ぐに私を見て話す彼に胸が締め付けられる。

「メル。ロードもこう言っているのだ。厚意に甘えてこれからも一緒に来てもらおうじゃないか」
ルーシスはそう言って目配せした。
「…分かりました。ロード、変なことを言ってごめんなさい。では…改めて、これからもよろしくお願いします」
精一杯の笑顔を作ってロードに頭を下げた。

彼の顔をまともに見られない。笑顔を作ることが精一杯で。
真実を隠したままどう接していけばいいのか、はっきりと気持ちが定まっていなかった。


ハイ・フロスガーを下り、ふもとのイヴァルステッドへ到着した。
宿で食事休憩をとったあと出発の準備をしている途中、ふと川岸に立つクリメクの姿を見つけた。
「クリメク。お久しぶりです」
近づくと、彼は振り向いて笑った。
「おお!メルじゃないか。久しぶりだな、元気か?最近はあまりハイ・フロスガーに行けなくなってすまないな」
「いえ。お元気そうで何よりです。こんなところでどうしたのですか?」
クリメクは川向こうの家を見て悲しそうな顔をした。
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「…ナルフィがどうかしたのですか?」
「ナルフィは死んだよ。今朝埋葬された」
驚いて彼を見た。
「ど…どうして?」
「何者かに殺されたようだ。ナルフィを見つけたウィルヘルムの話じゃ、安らかな死に顔だったらしいが…」
「…妙な話だな。抵抗もなく殺されたのか?」
ルーシスが尋ねる。
「さあな…。だが、手にネックレスを握っていたそうだ。レイダの身に着けていた物だ」
「レイダ…数年前から行方不明だったな。戻ってきたのか?」
「いや、誰も彼女の姿を見ていない。夜中にこっそりとナルフィに会ったのか、あるいはまったく別の誰かが…」
「闇の一党…だったりしてな」
ルーシスがぼそりと呟いた。クリメクが慌てたように反論する。
「まさか!確かにナルフィはレイダがいなくなってからというもの、家からもろくに出ず、村の誰も寄せ付けようとしなかった。あいつは気がふれたと言い出す奴もいた。だが、殺すなんて、そんな…」
「なにも犯人探しをしようというわけではない。…もしかしたら、ナルフィがそれを望んだのかもしれないしな」

淡々と語るルーシスの隣でナルフィの住んでいた家を見つめた。
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「…子供の頃はナルフィ、レイダとよく一緒に遊んだわ。レイダがいなくなってから、彼とは疎遠になってしまったけど…。両親やレイダのいたあの頃がナルフィにとって一番幸せだったに違いない…」
一人取り残された苦しみを抱えて生き続ける事と、苦しみから解放されて安らかに眠ること。
どちらが彼にとって選ぶべき道だったのだろう…。
「メル。…行くぞ」
悲しみに沈みそうな私を気遣ってルーシスが先へ進むことを促す。
「待って。せめて、祈りだけでも…」
クリメクに墓地へ案内してもらい、ナルフィの冥福を祈ってからイヴァルステッドを後にした。
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Comment

Name - もきゅ  

Title - 

ドラゴンボーンの話だと思いきや、
メルにとって重大な転機が訪れましたね(°□°;)
もしかして、記憶を失っている間に何かが・・・? まさに神アカトシュの手駒・・・続きが楽しみです。

お気に入りのルーシスさんの態度がすんばらしくてひそかにニヤリとしてます^^

長生きしてそうだし・・・動じない態度、大人の対応、調和の導きが、自然とにじみ出て素敵ですね。
2016.12.05 Mon 23:24
Edit | Reply |  

Name - magmel  

Title - Re: タイトルなし

>もきゅ様

コメントありがとうございます(*^^*)

メルヴィナをこんな捏造設定にしたのも、とあるMODを見つけて「こ、これは…!」となったせいでしてw
行き当たりばったりで書いてるので、収拾がつかなくなったらどうしようかとヒヤヒヤしてます(^-^;)

ルーシスをお気に入りと言って貰えて嬉しいです(*'▽'*)
こういう達観したキャラがいると話を進めるのが楽でいいですw
今後も彼はメルの一番の理解者として支えとなってくれることでしょう。
2016.12.06 Tue 20:22
Edit | Reply |  

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