空と雪と葡萄色

PC版スカイリムの妄想ロールプレイ日記置き場

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43話 - 世界のノド(3)  

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早朝、グレイビアード達への食料を買い込み出発した。

昼過ぎにはハイ・フロスガーへ到着し、アーンゲールに会う。
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「アーンゲール師、戻りました」
「メルヴィナか。ドラゴンボーンとしての鍛錬は順調か?」
「はい。今日は教えを乞うために参りました。…アルドゥインを倒すためのシャウトをご存知ですか?」
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アーンゲールの表情が変わった。
「それを誰に聞いた?誰と話した?」
「スカイ・ヘブン聖堂の、アルドゥインの壁に記されていたのです。アルドゥインを倒すシャウトが存在すると」
「ブレイズだ、アーンゲール」
横でルーシスが答える。
「ブレイズか!なるほど、殆ど理解できていない物事に首を突っ込むのが得意だからな。彼らの無謀な傲慢は底が知れぬ」
「師はブレイズのことを良く思っていないのですね」
「彼らは常にドラゴンボーンを智の道から遠ざけようとしていた。お前は我々から何も学んでいないのか?ブレイズの手にある只の道具として、彼らの目的のために使われたいか?」
「彼らに利用されているとは思ってません。ブレイズはアルドゥインを倒したいのです。それは私たちも同じ望みでは?」
「私の望みは関係ない。…そのシャウトは以前に使われたのだろう?だがアルドゥインは現れた。アルドゥインが破られる運命には無かったと考えたことはないか?太古の時代に彼を打倒した者達も、裁きの日の到来を遅らせただけだ。止めたわけではない。もし世界が終わるのであれば、それも良いだろう。終わらせて再生させればいい」
「そんな…。では、助けては下さらないのですか?」
「だめだ。今はできぬ。お前が智の道へと戻るまでは」
アーンゲールは沈黙した。
出直そうとその場を離れようとしたとき、どこからかグレイビアードの声が鳴り響いた。
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「メルヴィナよ…待て」
アーンゲールが呼び止めた。
「すまない。今のは…不必要であったな。己の感情で判断力を鈍らせてしまったようだ。アイナース師が私の義務を思い出させてくれた。お前の手助けをするか否かは、私の判断ではない」
「では…シャウトを教えていただけるのですか?」
「それはできない。私には分からないからな。”ドラゴンレンド”と呼ばれているが、我々にその力の言葉は分からぬ。声の道において、ドラゴンレンドの場所は無いのだからな」
「もし…そのシャウトが失われてしまったのだとしたら、どうやってアルドゥインを倒せばいいのでしょう…」
「我らが教団の主、パーサーナックスが答えようとすれば、その問いには答えられるかもしれぬ」
「パーサーナックス?」
「我らの長だ。我々の誰よりも声の道に通じている」
「けれど、そのような人物を今まで見かけたことはありません。どこにいらっしゃるのですか?」
「彼は山の頂で隠居している。我らと話すことは稀であり、よそ者と喋ることもない。彼の目にかかれることは、大いなる栄誉だ」
「そうなのですか…。そのお方と話すことが出来るか分かりませんが、そこへ行かなくては…」
「声の強き者だけが道を見つけられる。パーサーナックスへの道を開けるシャウトを教えよう」
アーンゲールの後を付いて行く。

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アーンゲールは三つの言葉を地面に映した。
「晴天の空についての私の知識を授けよう。これが我らからの最後の贈り物だ、メルヴィナ。いや、ドラゴンボーンよ。上手く使うと良い」
私はそこで”晴天の空”のシャウトを習得した。
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「晴天の空は霧を吹き飛ばしてはくれるが、それもわずかな間だけだ。パーサーナックスへの道程は厳しく、軽く捉えるべきものではない。止まらず、己の目標に心を定めていれば、山頂に辿り着けるだろう」
「…はい、覚悟はしています」

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「メル。私達もついて行くか?」
ルーシスが心配した表情で聞く。
「いえ。一人で行くわ。これはドラゴンボーンとしての私に課せられた使命だと思うから」
「…そうか、分かった。気を付けて行けよ」
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「ええ。…行って来ます」

ルーシスとロードを交互に見つめ、頷いて背を向けた。
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門の向こうは強風が吹き荒れる。無闇に飛び込んだら吹き飛ばされて終わりだろう。
「Lok Var Koor!」
先ほど習得したシャウトを放ち、風が止まったことを確認して前へ進んだ。


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「随分登ってきたわ…」
山登りに慣れているとはいえ、急ぎ足で進んだからか息が上がる。
さらにしばらく進むと、頂上らしき場所が見えてきた。
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「あれは…言葉の壁ね。それにしても、こんなところに隠居しているなんて、パーサーナックスとは一体どんなお方なのかしら…」

そんなことを考えながら近づくと、どこからか空を羽ばたく音が聞こえた。
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「…っ!?こんなところに、ドラゴン…!」
一人ではとても太刀打ちできない。身構えると、ドラゴンはそのまま地に降りた。

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攻撃してくる気配はない。真っ直ぐに私を見ている。恐る恐る近づくと、ドラゴンは言葉を話した。
「ドレム、ヨル、ロク。良く来た、ウンドゥーニク。私はパーサーナックスだ」
「パーサーナックス!?…あなたが?」
「いかにも。お前は何者だ?なぜ我がストルンマー…我が山を訪れた?」
「…グレイビアードは、あなたがよそ者と話すことはないと言っていました。私の前に現れ話してくださるということは、私のこともすでにご存知なのでは?」
「うむ。ヴァーザー。その通りだ、ドヴァー。許してくれ。他所から来たものとティンバークしたのは久方ぶりなのだ。つい長話の誘惑に負けてしまった」
「あなたがドラゴンだとは思いませんでした」
「父、アカトシュが私をこう作ったのだ。お前が…ドヴァーであるようにな」
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パーサーナックスは今まで私達が目にしたドラゴンとは違い、その翼は傷つき、角は折れ、長き時をこの場所で過ごしていたのだろうと思わせるほどの風格を漂わせていた。

「答えろ。なぜここに来た、ヴォラーン?なぜ瞑想の邪魔をする?」
「あなたに教えを乞うために、ここまで来ました」
「ドレム。待て。ドヴ同士が最初に出会ったときには、守らねばならぬ儀礼というものがある。長年の伝統により、まず年長者から話すのだ」

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「ヨル トール シュル!」
パーサーナックスは言葉の壁にブレスを吐いた。

「これを与えよう、ドヴァー。ヨルだ。炎を理解しろ」
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私はパーサーナックスからファイアブレスのシャウトを受け取った。
「来い、ドヴァー。ニン、ヨル。そのスゥームの炎で私を打て」
言われたとおりに、彼に向かってファイアブレスを放った。
「ああ…まさに!お前の中に竜の血脈が強く流れている。同じ種族のものと話したのは随分と久しぶりだ」

「それでは尋ねよう。ドヴァー、私に何を望む?年老いたドヴァーとティンヴァークをするために、ここまで来たわけではあるまい。アルドゥインに対抗する武器を探しているのだろう」
「ええ、その通りです。ドラゴンレンドのシャウトを教えて欲しいのです」
「しかし、お前の求めるスゥームの事は知らない。クロシス。私には知りようがないのだ。ジョーレ…定命の者がドヴ…ドラゴンを倒す武器としてこれを作ったのだ。我らのハドリッメ…心では、その概念すら理解できない」
「ならば、どうやって学べばよいのでしょうか」
「ドレム。時が来れば分かる。さて、質問がある。なぜこのスゥームを習いたいのだ?」
「この世界が滅ぼされる前にアルドゥインを止めなければなりません」
「なるほど。アルドゥイン…ゼイマー。世の長子にありがちな、有能で、貪欲で、そして厄介な兄だ。だが何故だ?なぜお前がアルドゥインを止めねばならぬ?」
「予言によれば、彼を止められるのはドラゴンボーンだけだからです。私がたった一人のドラゴンボーンならば、その使命を果たさねばなりません」
「そうだ…しかしクォスティード…予言が伝えるのは可能性であって、必然性ではない。”できる事”が常に”すべき事”であるとは限らない。運命より他に動機はないのか?お前はただ…宿命に弄ばれるだけの存在なのか?」

パーサーナックスに問われ、私は自分の心に問いかけた。
(私はドラゴンボーンとして行動しているの?私自身はどうしたいの…?)

「私は…」
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「私は、幼い頃から世間と隔絶されたハイ・フロスガーで育ちました。この世界のことも、この世界に住む人々のことにも詳しくはありません。何も知らなければきっと、私はただ宿命のためだけに行動していたでしょう」
目を閉じて胸に手を当てる。
「けれど…私には大切な人達が出来ました。彼らの生きるこの世界が好きです。失いたくはありません。それが…”私”の動機です」
「プルザー。良い答えだ。同じ考えの者は多いが、そうでない者達もいる。すべての物事が終焉を迎えなければ次が生まれない…そう言う者もいるだろう。この世界は、次のカルパのための眠れる卵なのかもしれぬぞ?新たな世界の誕生を妨げるのか?」
「新たな世界のことは、私達の力の及ばぬところです。破壊がなければ次が生まれないと知っていても、私はそれを防ぐでしょう」
「ロ、ファス…お前は、この世界の終焉を早める力を均衡させるだけかもしれん。時の流れに乗る我らも、前の世界の終わりを見ることはできぬ。終焉を早めようとするものが、それを遅らせることになるやもしれん。その逆もまたしかり」
「はい…。ですが、私は自分に出来ることがあるならそれを全うしたいです。たとえ自分のした事の結果が予期に反しても…何もせず破壊され続ける世界を見たくありません」


「うむ。…しかし、この長話の悪癖に良く付き合ってくれた。クロシス。ではお前の問いに答えよう。私がなぜ、お前達が世界のノドと呼ぶモナーヴェンの頂に住んでいるのか…お前は知っているか?」
「いえ…考えてもみませんでした」
「スカイリムで最も神聖な山なのだ。ゾック、レヴァク、ストルンマー。世界に名だたる山だ。古代の舌、すなわち初めて声の達人となった定命の者が、ここでアルドゥインに戦いを挑み、打ち破った」
「ドラゴンレンドのシャウトを使って?」
「それだけではない。アルドゥインも完全に敗れたわけではない。そうであれば、お前がここに来ることもなかった。当時のノルドが使ったドラゴンレンド・シャウトは、アルドゥインの動きを封じた。だが十分ではなかった。ケル、星霜の書。彼らはそれを用いて…奴が時の流れを彷徨うように仕向けたのだ」
「古代ノルド人達が、アルドゥインを時の流れに送り込んだということですか?」
「意図的にではない。我らがこの地上より永遠に消え去ることを願った者達もいた。メイェ。私の方がよく分かっていた。時は進み続ける。じきに奴も現れるだろう」
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「これがここにいる理由だ。定命の者にとっては何千年もの間、待ちわびていた。奴がどこに現れるかは分かるが、いつかは分からん」
「星霜の書とは…」
「それは…時を超えた秘宝なのだ。存在しないが、常に存在するもの。つまり…うむ…創造のかけらなのだ。ケッレ…お前達の言う”星霜の書”の数々は、預言書として用いられている」
「それを使い、ドラゴンレンドをどうやって覚えるのでしょうか?」
「ティード、クレント。古代ノルドがアルドゥインにしたことによって、ここでは時が…砕けてしまった。ここはティード・アーラーン…時の傷跡だ。もしあのケル、あの星霜の書さえ持ち帰れば…。時を壊すために使われた星霜の書を用いることで…お前を過去に遡らせることができるかもしれん。壊れた時間の彼岸にな。ドラゴンレンドを生み出した者達に会ってシャウトを習うがよかろう」
「ドラゴンレンドは、古代ノルドの彼らから直接学べということですね…。パーサーナックス、その星霜の書がどこにあるのかは知りませんか?」
「クロシス。いや。この地に住み始めて以来の長き間に何があったか、ほとんど知らないのだ。おそらくお前のほうがよく知っているだろう」
「そうですか…。まずはアーンゲール師に聞いてみます」
「己の直感を信じろ、ドヴァー。その血が道を示してくれる。星霜の書を手に入れたらここへ、ティード・アーラーンに持ってくるのだ。あとは…ケッレ、ヴォミンドック。詳しいことは分からぬ…。しかし、その書物とティード・アーラーンの絆が…それが最初に作られた頃の光景を、お前に見せるはずだ。そしてお前はドラゴンレンドを”知る”だろう。それを生み出す力の発露とともにな」


空に星が煌く頃にはパーサーナックスとの長い会話を終えた。
「それでは、パーサーナックス。星霜の書を持ってまいります」
別れ際、彼は私を呼び止めた。
「ドレム。待て、ドヴァー。一つ聞きたいことがある」
「はい?」

「お前は…はじめからジョーレ…人の姿だったのか?」

「…え?」
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「お前はドヴ…。竜族だろう。アカトシュはお前をそのように作ったのだな…」
言われたことが理解できず、時が止まったような感覚に陥る。
「……どういう、こと…。私が…ドラゴン…?」
顔を上げ、震える唇でパーサーナックスに問い返す。
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「お前は自分のことをドヴァーキンだと思っているようだが、それは少し違う。お前は、魂も、肉体もドヴァーだ。その姿をドラゴンのものに変化させることも出来る筈だ。力を使ったことはないのか?」
首を大きく振る。
「知りませ…ん。私はずっと、自分はドラゴンボーンで、半分は人間だと…」

突然に真実を突きつけられ、眩暈で倒れそうになる。
かろうじて立つ両足は震えが止まらなかった。
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パーサーナックスに背を向け、絞り出すように呟く。
「この身体すら、人のもので無いのなら、私は…」

逃げるように山を下りる。
私の魂はドラゴンのものと同じでも。身体は人のものだと信じていた。
だから私は”人の心”を持っていられるのだと。
そうでないのなら、これから私はどうやって”心”を保っていけばいいのだろう…?

自分自身が受け入れられないものに、他人がどうやって受け入れるのか。
このことを彼らに打ち明けるべきなのか分からない。
視界が滲む。ハイ・フロスガーへ戻る足取りが次第に重くなっていった。
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